清酒発祥の地である伊丹市と神戸市・尼崎市・西宮市・芦屋市の5市で申請した清酒にまつわる歴史・文化のストーリーは、【「伊丹諸白」と「灘の生一本」下り酒が生んだ銘醸地、伊丹と灘五郷】として、2020年6月に日本遺産に認定されました。
★日本遺産とは?
日本遺産は、地域の歴史的魅力や特色を通じて日本の文化・伝統を語るストーリーを文化庁が「日本遺産」として認定するものです。
★400年以上続く清酒造り
清酒発祥の地といわれる所以は伊丹市鴻池の地において、戦国武将山中鹿之介の息子であったといわれる山中幸元が、室町時代から続く醸造方法を改良し、1600年頃にはじめて清酒を造り出しました。それまでの「濁り酒」とはちがい透明で芳醇な「澄み酒」を江戸に送り、またたく間に有名になり、将軍家の御膳酒として供され、「丹醸」の名で全国津々浦々に知れ渡ります。
山中家の屋敷跡とされる公園には、清酒醸造にはじめて成功したことや江戸に出荷されていたことが鴻池稲荷祠碑に記されています。
↑鴻池稲荷祠碑
江戸時代の文献にも伊丹酒の製造風景や人気の様子が記されています。
↑日本各地の名産物を紹介した「日本山海名産図会」(1799年刊行)第一巻(伊丹市立博物館蔵)【画像提供:伊丹市立博物館】
↑摂津国(現在の兵庫県南東部と大阪北中部)の名所を紹介する「摂津名所図会(江戸時代刊行)」(伊丹市立博物館蔵)【画像提供:伊丹市立博物館】
★江戸で人気を博した伊丹酒 ~「下り酒」と「樽廻船」
かつて江戸では、上方(現在の関西)からの食産物は「下りもの」と呼ばれ、上方の高度な酒技術で生産された透き通った清酒は「下り酒」として人気を博していました。
また、当時の下りものは船で江戸まで運ばれており、下り酒は専用の「樽廻船」と呼ばれる貨物船で運ばれ、汽船や鉄道が発展するまで酒造の流通を支えました。
★偽物まで出回る人気の高さ
下り酒の中でも希少で高価な「伊丹諸白」の群を抜く人気は、模倣品や贋酒(にせざけ)が多く出回わるほどでした。領主は偽物を区別するための「伊丹御政所」と刻まれた落印を用いたり、都度酒銘を変えたりするなど様々な対応を行いましたが、江戸時代を通して偽物が完全になくなることはありませんでした。
★赤穂浪士も愛した伊丹酒「剣菱」
忠臣蔵で有名な赤穂浪士は、吉良邸への討ち入り前に飲んだ「出陣酒」が、かつて伊丹酒として創業・醸造された「剣菱」であったという言い伝えがあります。現在も、決起のためや節目のお酒として日本全国のお酒好きから支持を得ています。
★伊丹の清酒が楽しめるお店
●白雪ブルワリービレッジ長寿蔵ショップ
470年の歴史を誇る伊丹の名酒蔵「小西酒造」が運営する酒蔵に併設されたショップです。年に1度行われる「白雪蔵まつり」では開催場所として1万人以上の多くの人でにぎわうなど、地元に愛される1店です。
<アクセス>
住所:兵庫県伊丹市中央3-4-15
アクセス:伊丹駅(阪急電鉄、JR)から徒歩5分
URL:https://choujugura.com/
●伊丹老松酒造株式会社直売所
江戸幕府の官用酒(御免酒)となったのち宮中奉納酒や将軍の御膳酒としても名をはせた「老松」を製造する伊丹老松酒造の直売所です。
<アクセス>
住所:兵庫県伊丹市中央3-1-8
最寄り駅:伊丹駅(JR)から徒歩5分、伊丹駅(阪急電鉄)から徒歩3分
URL:http://www.oimatsu.biz/
●市立観光物産ギャラリー
JR伊丹駅改札横にある伊丹市の物産販売所、カフェを併設するコーナーです。お酒自体だけでなく、奈良漬けや酒まんじゅう、地酒ゼリーなどお酒を使ったお土産が手に入ります。
<アクセス>
住所:兵庫県伊丹市東有岡1-6-2 JR「伊丹」駅改札横
アクセス:伊丹駅(JR)からすぐ、伊丹駅(阪急電鉄)から徒歩10分
URL:http://itami-kankou.com/gallery
関連リンク:伊丹酒造組合
https://hyogo-sake.or.jp/en/introduction/itami.html