三田市屋敷町の静かな街にたたずんでいる「旧九鬼家住宅」は1875年頃に建てられた住宅で、全国的にも現存しているものが少ない「擬洋風建築」のひとつであり、1998年には兵庫県重要有形文化財に指定されました。「擬洋風建築」とは、19世紀後半、近代化とともに日本の大工が、西洋の建築に似せて建てた和洋折衷の建築を指します。
2階建てで、1階は板張りと漆喰で壁を仕上げ、格子戸、障子戸、板戸を使用した和風造りです。
部屋の中には、昔のテレビや家具、電話などの生活道具が展示されていて、昔の暮らしぶりが分かります。
昔の暮らしが分かる台所
2階は通常非公開ですが、年間約7回特別公開を行っています。建物の外から見ると、半分はベランダとなっていて、円柱や手すりを設けるなど、洋風の趣が見られます。
2階の半分は洋間となっていますが床に畳を敷いたり、壁や天井は壁紙の代わりに日本的な襖紙を張るなど、和洋折衷の独特な内装になっています。
よろい戸
2階の和風の物置
この旧九鬼家住宅は、鉄道建設の技師として活躍した当時の九鬼家当主、九鬼隆範(1835~1908)が建てたものです。隆範はお雇い外国人技師から実地に学び、近代日本の鉄道建設の発展を現場で支えた、重要な技師の一人です。隆範自らが洋風デザインを取り入れて自ら描いた住宅の設計図も残っています。隆範はイギリスの鉄道技術に触れ、また、東京や横浜、神戸で多くの洋館を見て、“西洋への想い”を自分の邸宅にも取り入れたの
かもしれません。また、旧九鬼家住宅資料館には、隆範が仕事に使っていた製図用具や定規、設計図用の絵
の具や絵皿も展示されています。
旧九鬼家住宅資料館の周辺には、三田の歴史を学べる「ふるさと学習館」や三田城跡、ほかにも史跡や寺社が点在しているので、ぜひ散策してみてください。
住所:三田市屋敷町7-35
アクセス:JR・神戸電鉄「三田駅」から徒歩約10分
入場料:無料
開館時間:10:00~16:00
開館日:土曜日・日曜日・祝日・季節開館
休館日:月曜日(月曜日が祝日の場合は翌日)
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